「マンション修繕積立金ガイドライン」の改訂について

2021年9月、国交省は10年ぶりに「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を改定しました。

 マンションの販売会社や管理組合が自由に金額を決めることができる修繕積立金に対して国土交通省がガイドラインを作成する背景には、多くのマンション販売業者が販売しやすくするために、修繕積立金を低く設定して購入者に割安感を与え販売していることに起因する問題が発生していることがあります。

 販売会社が設定する修繕積立金の額はあくまで仮の金額なので、管理組合発足後直ちに見直すべきなのですが、販売会社や管理会社は教えませんし、そのことに気付く管理組合は少なく、そのまま変更なく運用され10年以上経過して大規模修繕を具体的に計画するころから問題に気付くケースが多数発生しています。

 そこで国土交通省が管理組合や購入予定者に向けて警告を発するために平成23年4月に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を発表し、今回10年ぶりに改訂を行いました。

 新ガイドラインでは、建築資材の高騰や高齢化による人手不足による人件費の高騰等の状況を踏まえ、㎡あたりの修繕積立金の目安が大幅に改訂されました。

今回、公表された専有床面積当たりの目安は以下のとおりです。

※計画期間全体における修繕積立金の平均月額の目安(機械式駐車場を除く)

地上階数/建築延床面積専有面積当たりの修繕積立金額(月額)
事例の2/3が抱合される幅平均額
20階未満5,000㎡未満  235~430円/㎡・月335円/㎡・月
5,000㎡以上~10,000㎡未満170~320円/㎡・月252円/㎡・月
10,000㎡以上~ 20,000㎡未満200~330円/㎡・月271円/㎡・月
20,000㎡以上  190~325円/㎡・月255円/㎡・月
20階以上240~410円/㎡・月338円/㎡・月

 この表から、例えば150戸前後が入居するくらいの規模である20階未満・延床面積10,000~20,000㎡未満の物件の場合、1㎡当たりの修繕積立金は200円~330円、平均額は271円となっています。10年前に制定された前ガイドラインでは、10,000㎡以上で15階未満という括りなので単純に比較できませんが、135円~220円、平均額は178円でした。平均額の差は93円となっており、一般的なファミリー用3LDKで75㎡の分譲マンションを所有している場合の増額幅は月額で6,975円、1年間で83,700円になります。これは機械式駐車場のメンテナンスコストを含まない金額なので機械式駐車場を導入している場合は別途、その分のメンテナンスコストが上乗せになります。

 今回の改定では、修繕積立金の目安額の改定のほかにも、築年数の経過したマンションの資産価値を維持するために「管理計画認定制度」と「マンション管理適正評価制度」の2つの制度が導入されていますので、それは別の機会に解説します。

 新ガイドラインにおいて、事例の3分の2が包含される幅より、現在の積立金額が低い場合には長期修繕計画の内容を精査して、月々の修繕積立金額が長期修繕計画に対して適正かどうかを検討することが必要だと思います。ただし、マンションは個別性が強く、ガイドラインの数値よりも少ないから不足であると断定できるわけではありません。建物の形状、規模、立地、仕上げ材、設備仕様や単価、ニーズ等によって修繕工事費が異なりますが、ガイドラインはマンションの規模以外の要素は考慮していません。それぞれのマンションの状況に応じた適正な長期修繕計画が作成されており、計画に沿った修繕積立金を計画的に準備していることが重要であり、あくまでもガイドラインはその目安と考えましょう。」

 マンションの良好な住環境を維持保全することは、資産価値の維持だけでなく地域の住環境の向上にもつながります。その実現には、日常の維持管理とともに計画的および都度の修繕工事の実施が不可欠です。管理会社に任せっきりにするのではなく、管理組合の理事はもとより区分所有者の一人ひとりが、管理に関心を持ち、長期修繕計画やそれを実施するための修繕積立金についてもチェックしていくことが重要となります。

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